三密対策によりテレワークが急速に普及しました。
ウェブ会議が定着するなど、働き方の変化が進んでいます。テレワークは二極化が進んいるため、あなたのこれからの働き方について真剣に考えておきましょう。
三密対策で進んだテレワーク

コロナウイルスが流行して、三密対策として在宅勤務が広がりました。しかし、緊急事態宣言が解除された後は従来の働き方に戻す企業が増えてきています。
安易に従来の働き方に戻ることは、一時的な業績回復策にすぎない点を認識しておく必要があります。
危機的な状況に直面したときは、従来の手法を見直し、変革の機会と捉えることが重要です。
偶然にも2020年4月から中小企業を含めた働き方改革が始まりました。テレワークはコロナウイルス対策のためだけの働き方ではなく、働き方改革の中で推奨される新しいアプローチの一つです。
以前からテレワークを導入していた企業もあれば、今回初めてテレワークに取り組んだ企業も多いでしょう。その中でも「自社ではテレワークは不可能」と考えていた人々が、約一か月の間に試行錯誤しながら業務を遂行する様子が見受けられました。
緊急事態宣言が解除された後の企業の対応は、組織の未来を左右する重要な分岐点となります。
全国的に緊急事態宣言が解除された後、街中の人出が増えつつありますが、以前の働き方に完全に戻った企業ばかりではありません。
2020年6月以降の対応が組織の未来に大きく影響します。社員は特に危機的状況下における企業の対応を注視しており、どのような選択を行うかが重要なポイントとなります。
これからの働き方の変革は、いずれ訪れるテレワークの浸透時期に向けた準備としても不可欠です。必要な改革を見据えて柔軟な対応を進めることが求められています。

三密対策はテレワークだけじゃない?!

三密対策と言えばテレワークというイメージが定着していますが、職種によってはテレワークの導入が難しい仕事も存在します。
また、「現状のやり方でなければ仕事ができないため、何も対策をしていない」という声を聞くこともあります。
変化が生じるときには必ず抵抗が伴います。
長く働いているほど、たとえ現行の仕事の進め方が非効率でも、培われた経験により仕事をうまく回す方法を身につけています。そのため、変化への適応に時間がかかる傾向があります。
しかし、リーダーや経営者は、周囲の社員から抵抗がある場合でも、企業が正しい方向へ進むための決断を下さなければならない場面があります。
新しい取り組みを導入する際には、十分な計画が必要であり、特にベテラン社員の抵抗を考慮する必要があります。
考え方を柔軟にすることで、変化を成功させる可能性が広がり、結果的に大きなチャンスを手にすることができるのです。
たとえテレワークの導入が困難な業界であっても、その状況を理由に対応を放棄してはなりません。
三密対策はテレワークだけに限らず、業種や職種に応じた対策を講じることが重要です。導入可能な施策を着実に進めることで、組織全体の安全と成長を確保できるでしょう。

三密対策を継続する3つの方法

- 交代勤務による三密対策
- フレックスタイム制導入による三密対策
- やる気だけで実現可能な三密対策
三密対策を継続するためには、業務内容や環境に応じた具体的な取り組みが求められます。
実践可能な3つの方法は、職場での安全性向上と効率的な働き方の実現を目指します。それぞれの方法を工夫して取り入れることで、持続的な三密対策が可能になります。
交代勤務による三密対策
交代勤務でテレワークを導入する場合、テレワークが難しい業務を担当している社員がテレワーク可能になるように、業務を平準化する対策が必要です。
一時的なコロナウイルス対策として交代勤務による自宅待機を実施することは可能ですが、通常業務で同様の方法を適用することは難しいでしょう。
社員間に不公平感を生じさせないよう、交代勤務を活用したテレワーク体制を整備することが重要です。
例えば、営業事務の場合、入力業務と営業内勤業務を適切に分けることで、出勤者と在宅勤務者の間で役割分担を行いやすくなります。
さらに、これらの業務をマニュアル化し、誰でも遂行可能なレベルにまで落とし込むことが求められます。
業務の平準化は、業務内容の「見える化」につながり、業務効率やマネジメント改善のヒントを得る良い機会にもなります。
実務を特定の社員に任せきりにすることなく、全体で適切な管理を行うよう心がけましょう。
フレックスタイム制導入による三密対策
三密対策として出勤時間をずらす方法の中で、時差出勤は多くの企業で一般的に採用されました。また、時差出勤とともに時短営業を取り入れる企業も見受けられました。
時短営業によって同じ成果を維持できるのであれば理想的ですが、営業時間短縮により利益が減少する場合、継続は難しいものです。
今後も時差出勤を継続する際に検討すべき施策として、フレックスタイム制の導入が挙げられます。
たとえ時短営業を終了し通常営業に戻したとしても、フレックスタイム制を取り入れることで、通勤時の三密の軽減や社内での混雑防止が期待できます。
やる気だけで実現可能な三密対策
- ドアや窓を開けて換気する
- 席のレイアウトを変更する
- 簡単なやり取りはチャット機能を使う
- 会議や打ち合わせはウェブで行う
- 紙の使用を減らしデータのやり取りを増やす
- ランチタイムをずらす
- 営業マンの席をフリーアドレスデスクにする
やる気さえあれば導入可能な三密対策は、積極的に実施してみましょう。

三密対策失敗は今までのコミュニケーションの悪さが原因

三密対策を進めることで、さまざまな問題点が見えてくることがあります。
見えてくる問題は、テレワークなど新しい働き方そのものに関する課題ではありません。
大人の社会では本音と建前が存在し、顔を見ながら仕事をしていた以前には気づかなかった問題が顕在化することがあるのです。
例えば、普段は仲が良さそうに見えていた社員同士の連携が実はうまくいっていなかったり、その結果として仕事のミスが目立つことが起きることがあります。
また、仕事が非常にできると思われていた社員が、実際には他の社員に仕事を押し付け、自分の手柄としていたことが明らかになるケースもあります。
新しい働き方の導入により、業務の「見える化」が進みます。
これにより、仕事にあまり貢献できていない社員ほど不満を抱くことが予想されます。しかしながら、業務の見える化は、組織が本来あるべき姿へ近づくために必要な過程であり、積極的に進めていくべきです。
コミュニケーションに関しても同様です。
新しい働き方でコミュニケーションが取りにくくなったのではなく、もともとコミュニケーションがうまく取れていなかったことが浮き彫りになっただけです。
これをきっかけに、コミュニケーションを改善する機会とすることが求められています。

三密対策で始まった新しい働き方で成果を上げる

三密対策として期間限定でテレワークを導入した企業が、テレワークを継続するには多くの課題が残されています。
業務の平準化が比較的容易な仕事もあれば、そうでない仕事もあるのが現実です。また、業種や業界によって、テレワークを導入しやすい環境かどうかが異なることも事実です。
新しい働き方を「できない」と最初から決めつけてしまわないことが重要です。
緊急事態宣言が解除された後も、コロナウイルスだけでなく天災などのさまざまな危機が起こることも想定しておく必要があります。
柔軟な視点で対応策を検討していきましょう。
変化をすることで会社をよくする
従来の方法で成果を上げてきた企業や社員ほど、変化に対して抵抗を感じます。しかし、慣れない方法で最初から完璧な成果を出すのは難しいのが普通です。
テレワークは、働き方改革の一環としての選択肢の一つですが、企業の状況に応じてテレワーク以外の選択肢を取ることも可能です。
重要なのは、働き方改革をうまく進めることで、企業をより魅力的にしていくことです。
現在の方法と新しい方法の違いや、それが業績に与える影響についてしっかりと考えることが必要です。
また、社員に対してワークショップを開催し、意見を募るのも良い方法です。その際には、ウェブ会議を活用してみることも一案です。
新しい発見や改善のヒントが見つかるはずです。
成果を出すための働き方改革を始める
2020年はビジネスの分岐点となる年でした。
手探りで始めた取り組みをどのように活用するかによって、将来の組織のあり方が大きく変わる可能性があります。
失敗したとしても、組織の存続に影響がないことであれば、積極的に挑戦を続けることが大切です。
現在抵抗を示している社員も、働き方改革を通じてライフバランスが向上すれば、次第に考え方が変わっていくでしょう。「成果を出す働き方改革」を意識して取り組むことが重要です。
大切なのは、良い方向へ向かうかどうかではなく、変化を続けることです。
変化をし続けていれば、いずれ良い結果が得られるはずです。ぜひ、三密対策をきっかけにさまざまな取り組みを試してみてください。

【まとめ】三密対策からテレワーク導入二極化の時代へ

2025年現在、三密対策を契機に広がったテレワークは、企業の働き方を「柔軟な対応を重視する派」と「オフィス出社へ回帰する派」に分ける二極化が進んでいます。
この分岐は、企業の価値観や経営方針に直結し、競争力の向上に大きな影響を与えると考えられます。
柔軟な働き方を支持する企業は、フレックスタイム制やハイブリッド型勤務の導入により、社員の生産性向上と満足度の両立を目指しています。
一方で、オフィス出社回帰を選ぶ企業は、対面でのコミュニケーションや組織文化の醸成を優先させています。ただし、完全なオフィス出社の選択は、人材採用や企業イメージにとって不利に働く可能性もある点には注意が必要です。
柔軟な働き方がもたらす利点として、業務のデジタル化や社員の適応力向上が挙げられる一方で、対面での交流を減らすことで孤独感や連携の低下といった課題も存在します。
企業は、自社に最適な働き方のバランスを見極めることが求められています。
持続可能な働き方を築くには、この二極化の潮流を捉え、「生産性向上」と「コミュニケーションの質向上」の両立を目指して進化することがカギです。
