不動産の営業マンにとっては、厳しい時代が訪れています。金利の上昇や経済の低迷により、不動産市場にも大きな変化が現れています。
今後は、不動産の取引価格が適正価格へと近づくことが予測されています。
不動産は、売り手市場から次第に買い手市場へと移行していく状況です。そこで今回は、これからの時代に求められる不動産営業マンの在り方について考えていきたいと思います。
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不動産営業マンじゃなくても適性価格を知ることができる

不動産の営業マンが苦しい時代になっている理由の一つは、お客様の知識が向上していることです。
インターネットの普及により、お客様が自分で物件を探し、不動産会社に声をかけるという流れが一般化しました。お客様自身が相場や適正価格を調べることも、今や当たり前になっています。
また、利便性や街の治安、学区の良さなど、エリアごとに求められる条件は異なるものの、人口が減少している中で新築物件が次々と建てられ、不動産市場の競争が激化しています。
今後、人気エリアに需要が集中することが予測され、不動産価格の格差はますます拡大するでしょう。さらに、先行きが不透明な景気の中で、不動産営業の厳しさは一層増していると言えます。
しかし、不動産に限らず、売れる営業マンは景気に左右されず成果を上げているのも事実です。売れる営業マンは、どの時代においても確実に販売を実現しています。
お客様を喜ばすための行動が大事
優秀な不動産の営業マンは、お客様の喜ぶ姿を想像しながら、常にお客様の期待を超えることを目指しています。
不動産は高額な商品であるため、完璧な準備をすることは当然のこととされ、「おもてなし」のレベルでもお客様の期待を超えることが求められます。
優秀な営業マンは、一般的な営業マンでは提供できないような「おもてなし」を実践し、値引きを抑制しつつ顧客満足度を向上させる方法を理解しているため、成果を上げることができているのです。
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不動産営業マンの苦悩|適正価格を逸脱しては売れない時代

不動産価格は、2010年ごろから少しずつ上昇し、2016年前後には大きく下落した後、再び上昇傾向に転じました。2019年後半には、景気が失速していた状況で新型コロナウイルスの流行が始まりました。
2024年頃から金利の上昇、戸建需要の低迷、都内タワーマンションのバブルが終了の兆しなど、不動産業界は向かい風になっています。
情報を簡単に検索できる時代、そして消費を抑える傾向のある時代において、平均取引価格を大幅に上回る価格で売りに出された物件は成約が難しい状況です。
とくに、坪単価の高い高級住宅地の取引は従来ほど活発ではなくなっています。また、現在はぜいたくよりも身の丈に合った物件を求める人が増えているように感じられます。
忙しくても給料がなかなか増えないことが当たり前となり、景気の不透明さや将来への不安が増す中、高級住宅地にあった豪邸が取り壊され、40坪前後の区画として販売される事例が目立ち始めています(一部の高級住宅街を除いて)。
不動産の取引は、売り手と買い手双方がいて成り立つものです。相場は人気の有無によって左右されるため、駅から遠い高級住宅地が必ずしも高値で売れるとは限りません。
不動産営業マンにとっては、周辺物件の売れ行きや価格を詳細に調査し、最新情報をお客様に提供することがますます重要になっています。
ストーリーを描く意識を持つ
お客様は知識を身につけて不動産を見学に訪れます。
事前に確認したいことや周辺地域の情報を調べている場合が多いですが、やはりお客様は不動産のプロではありません。
不動産のプロである営業マンがお客様をサポートし、背中を押して差し上げることが必要です。
お客様が持っている断片的な知識をしっかりと受け止め、お客様の断片的な「点」の知識をつなぎ合わせて「線」にするのが営業マンの役割だと考えましょう。
また、不動産取引のプロとして、お客様に物件のデメリットを伝えることも大切です。
デメリットを隠そうとするよりも、先に説明しておく方が安心感を与えられます。興味を持って見学に訪れているお客様は、物件のメリットについては既に感じ取っているはずです。
そのため、お客様が気づいているメリットをていねいに聞き取り、さらに気づいていないメリットがあれば補足してお伝えすることが重要です。
そして、お客様が物件を購入した後のライフスタイルをイメージしやすくなるように工夫し、購入を後押しするお手伝いをしましょう。
売れる不動産営業マンはお客様が知識を持つことを歓迎する
お客様が、商談前にインターネットで情報を調べることができる時代です。
売れない営業マンは、お客様が知識を持つことを恐れます。
なぜなら、お客様が知識を持つと高い値段での取引が難しくなると考えるからです。しかし、お客様が知識を持つことは本当にデメリットなのでしょうか。
一方で、売れる営業マンはお客様が知識を持つことを歓迎します。
お客様が知識を持つことで、より高いレベルの商談が可能になるからです。お客様が高度な質問をしてきた際には、営業マンとしての力量が試される場面でもあります。
もちろん、最低限、お客様よりも多くの知識を持つことをビジネスマナーです。
お客様が知識を持つことで商談の成立は早くなる
お客様が物件に関することを調べている理由は何でしょうか。
「1円でも安く買いたいから」と考える営業マンは、成果を上げることが難しいかもしれません。
確かに、お客様は1円でも安く購入したいと思い、営業マンは1円でも高く売りたいと考えます。しかし、お客様が物件を調べる理由が必ずしも安く買うためだけではありません。
実際、お客様が物件をくわしく調べれば調べるほど、成約の可能性は高くなると考えられます。
時間をかけて調べた物件には、愛着が生まれることが多いです。つまり、物件に対してお客様が強い興味を持つと言っても過言ではありません。
さらに、周辺環境や相場を調べることで「購入したい」という気持ちがより強くなる傾向があります。住むことを想像しながら、詳細を調べているのです。
売れない時代でも売れる物件はすぐに売れる
家が売れにくい時期でも、適正価格に近い物件はすぐに売れる状況です。
お客様が物件価格にメリットを感じている場合は、それが大きなチャンスとなります。
他からも問い合わせが入っているといった余計な説明をする必要はありません。購入を希望しているお客様には、物件の第三者評価を正確にお伝えすることが大切です。
営業マンとしては、調査を重ねたお客様が納得できるお得な物件であることを示し、その背中を押してあげるだけで十分なのです。
物件や相場の情報が簡単に調べられる時代になったことは、決して悪いことばかりではありません。それを営業の強みに変え、より良い提案をする姿勢が求められます。
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不動産営業マンは競争ではなくおもてなしをする

不動産が適正価格であったとしても、営業マンが強気な態度で商売を進めて良いわけではありません。
お客様も人間です。適正価格であっても、傲慢な態度の営業マンから購入したいとは思わないものです。この「傲慢な態度」とは、言葉遣いだけを指すわけではありません。
お客様は物件を見学に訪れ、購入する意思を持っています。そのようなお客様に対して、「他のお客様も予約している」といった煽るような発言をするのは問題です。
たとえ相場より高い物件を購入検討している場合でも、そのように煽られると「もっと良い条件の物件を探そう」と考えるきっかけになってしまう可能性があります。
他のお客様との競争を意識させるクロージングは、時として逆効果を生むことを覚えておきましょう。
それよりも、お客様が購入したくなるようなセールストークを心がけることが重要です。信頼関係を築き、お客様の気持ちに寄り添った提案をする姿勢が成功のカギとなります。
顧客層を知る
新築物件と中古物件では、お客様が求めている条件や目的が異なることが多いです。
中古物件を見に来たお客様に対して、周辺の新築物件をご紹介することは重要です。しかし、中古物件を選んでいるからといって、必ずしも経済的に余裕がないとは限りません。
たとえば、一戸建てにおいて土地の価値を重視する場合、新築物件が建っている土地よりも立地条件の良い中古住宅を選ぶ方も一定数います。
まずは、お客様が物件を探す目的や希望条件をしっかり理解することを心がけるべきです。この理解が、適切な提案につながる重要なポイントとなります。
新築は「いつかはマイホーム」の人向け
日本では新築物件を好む傾向が見られます。
特にサラリーマンの間では、「マイホームを買うなら新築」という考え方が一般的に浸透しています。土地が限られている島国である日本では、良い立地条件の新築物件は非常に少ないのが現状です。
現在の新築物件は、価格を抑えるために比較的安価な土地を選び、その上に建物の価格を加えて販売するという流れが主流となっています。
中古物件は立地と資産価値を重視する人
中古物件を購入する方が必ずしも経済的に余裕がないとは限りません。
中古物件を選ぶ方は、立地条件を重視し、物件を資産として捉える傾向があります。
資産として土地を探す際には、新築よりも高額な中古物件を購入することもありますが、将来の相場よりも高い買い物をすることはありません。
不動産営業マンは、中古物件を求めるお客様がどのような考えで物件を選んでいるのか、しっかりと耳を傾ける姿勢が重要です。
たとえば、最寄りの駅が同じであっても、道路を挟むことで学区が異なる場合や、街の雰囲気が変わることによる治安の違いがある場合もあります。
価格だけでなく立地条件を重視するお客様には、細やかな情報まで提供することが購入の決め手になるケースも多いため、必要な情報を整理しておくことが大切です。
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【まとめ】不動産の営業マンに転職する

これからの時代では、適正価格でお客様に販売できるよう、物件の選定がますます重要になってくると考えられます。
地価が上がる地域では物件価格も高くなり、地価が下がる地域ではより安くなる傾向が進む中、不動産会社で働く際には「どの会社を選ぶか」が成功のカギとなります。
取り扱う物件がどのような価格帯で販売されているかを事前に調査することで、その会社の商売形態をある程度把握できるでしょう。
成果を上げやすい環境を見つけるためにも、長期的に働く会社は慎重に選ぶことが大切です。
不動産の営業マンは資格があっても他の業界の営業マンより知識不足
不動産の営業マンには、資格があったとしても他業界の営業マン以上の知識が求められます。
取り扱う物件だけでなく、周辺環境や土地の相場などについて、お客様よりもくわしいのは当然のことです。
物件の詳細や市場動向、経済状況などの知識を深めることは、プロの営業マンとしての最低限のマナーとも言えます。
とくに高額物件を扱う際には、知識だけでなく知性や品格も必要になります。
若手から中堅の営業マンは同世代の強みを活かす
また、20代~30代の若手営業マンは、世代に合った柔軟な営業スタイルを活かすべきです。
時代の流れに敏感になり、フレッシュなアプローチでお客様の心を掴むことが求められます。ベテラン営業マンにはない若手特有の強みを理解し、最大限に発揮することが成功への近道です。
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